もうDIYでいいよ。

3頭身アイコンのコツ

facebookに登録したプロフィール画像は、コメント欄など様々な場所に使われています。

知人の個人のマークも、twitter やLINE などで見かけると、すぐわかります。

こういう目印は、『アイコン』と呼ばれ、特定の個人やソフトウエアなどの視認性を高める目的があります。

 

今回は、お気に入りのアーティストのアイコンを自分で作る際のコツについて話題にしたいと思います。

なお、ここでは仮に、アイコンの大きさを、『タテヨコ 100  ピクセル 程度の大きさに収まる小型の画像』

と定義しておきます。下がその実物大です(アイコンの大きさが決まっているわけではありません)。

また、勝手に作ったアーティストのアイコンは、商用目的で使用できません(脚注を参照のこと)。

では、例として、下の画像の左端の人物に良く似たアイコンを作る場合のことを考えてみましょう。

画像は、『アゲハ蝶/ポルノグラフィティ(Cover)』。歌っている方々は、Goosehouse(グースハウス)

というグループ。左端の大柄な男性は、グループのメンバーの、ワタナベシュウヘイ さんです。

ワタナベシュウヘイ さんの特徴を、できるだけ上の画像に忠実に再現したものが、下の左画像です。

それを100ピクセル平方程度に収まるように縮小してみます。アイコンとして使えるでしょうか?

確かに写実的ではありますが、アイキャッチ画像としては、細部がつぶれて、楽器を弾いている平凡な人物画

にしか見えません。注目されるアイコンにはならないようです。

こういう場合、どのようにアイコンを魅力的にする方法があるのでしょうか?

こんな時、2~3頭身によるキャラクター化によってカワイイ系の画像に生まれ変わらせる技法が役に立ちます。

下の画像と比べて見てください。

上のアイコンは、あくまでヨナデンが感じるワタナベシュウヘイ さんの視覚的魅力を極端にキャラクター化したもの

です。その魅力とは、①大柄な(太っているともいう)こと、②それにもかかわらずオシャレであることの、たった2つの

ことだけです。それを表現するために、ポーズや顔の輪郭など、あらゆる要素を取捨選択しました。

ギターが上手い・声が抜群・ユーモラスとか、彼の特徴はいろいろあるのですが、ビジュアルにならない一切のモノ

を捨て、シンプルにしたことで、小さな画像でも『キャラが立つ』状態になったと思いますが、いかがでしょうか?

 

今回は、こういう2~3頭身によるキャラクターのアイコンを作る際に、自分で気をつけていることを3点まとめています。

まず、Goosehouse の他のメンバーも、同様にして描いたアイコンによる作品例をご覧ください。

アイコンを描いていく時の前提ですが、100ピクセル平方の白紙から等倍率で描始めるのではなく、それより大きな

元画像が存在します。ヨナデンは完成アイコンの3~5倍程度の大きさを元画像にしています。

ワタナベシュウヘイ さんのアイコンの場合、完成画像は、ヨコ 52 ピクセル、タテ108 ピクセル程度ですが、元画像は、

ヨコ 165 ピクセル、タテ340 ピクセル程度ありました(下画像参照)。

元画像を描く際に、これが縮小された時、どう見えるかを、常に意識しておく必要があります。

 

 


最初に決める数値は2つだけ。1.何頭身にするか
2.立ち姿の標準的な身長のキャラの完成時の高さ

 

計12人のキャラを作成する今回の場合、1.を2.5頭身、2.を100ピクセルと決めました。

なぜならそれ以上は決めれないからです。

というのは、もともと身長が高い設定のキャラがいたり、その逆だったり、座った姿勢のキャラだったり

するので、全部一律100ピクセルの高さに縮小すると、並べたとき、かえって不自然になるからです。

それで、一応500×500ピクセルの白紙に下のような 1:1:0.5 のラインを引いておき、1の幅に頭が

入る程度の気持ちで、あまり幅を合せることに神経質にならずに、描くようにしました。

2.5頭身の場合、上の1幅で頭、中の1幅で手の動作、下の0.5幅で足の動きを中心に描いています。

足は男性キャラでも、鉛筆の先のような尖った足元で短足にしても、不自然ではないカワイさが出ます。

後で述べますが、案外手の動作が重要で、チンチクリンな2.5頭身でも、一人前に手の演技をさせると、

キャラが立ちます。


元画像の見栄えで細部を決めてしまわない
必ず縮小して、ウルサくないかチェックする

 

元画像で見て、充分余裕がある描線の入れ方をしていても、完成時の縮尺に直してみると、非常に

ウルサい感じのすることが製作途中で頻繁にありました。したがって、元画像で判断して筆を進めず、

途中何回も縮小しながら確認することが肝心です。

例えば、下の画像中央は、Goosehouse のメンバーd-iZe さんのアイコンの元画像ですが、参考にした

ご本人の動画でメガネをシャツにオシャレに引っ掛けている、d-iZeファンにはお馴染みの光景をネタに

しました。このメガネの下側のテンプル(ツル)の部分が、完成時の縮尺だとゴミがついたように見えて、

かえって無い方がメガネらしくなります。こういう作業が、アイコン作成だと言っても過言ではありません。

 

同じくメンバー工藤秀平さんのアイコン元画像例です。下画像①の顔とマラカスのスキマにご注目。

これくらいのアキがあれば、元画像の大きさでは問題はないのですが、縮小するとスキマがないのか

あるのかモヤモヤした感じになります。縮小画像でも明確な間隔をあけてスッキリしたいのであれば、

せめて②程度の間隔に修正すべきであることがわかります。

 

 


2~3頭身の顔部分は重要ではあるが、
キャラらしさを決めるのは手を含めた全体の動作

 

2~3頭身では、それだけ頭の部分が大きいわけですから、アイコンのキャラを決定する要因として

顔の造形はウエイトが高いように思えます。しかし、実際には25ピクセル平方程度の自由度しかなく

それほど豊かな表情が作りだせるわけではありません。

むしろ、今回の事例でも明らかなように、『キャラ立ち』を決めるのは、『(小道具を使う)手の動作を

含めた全体の動き(ポーズ)』です。

最初に紹介したワタナベシュウヘイさんのアイコンも、動きがないように見えますが、視覚的魅力として

強調した『太ってるけどオシャレ』感を出すために、2.5頭身なのにポケットに手を入れて、立ちポーズを

キメルという面白さをねらいました。

 

各メンバーのどんな個性ある動作・小道具を取り入れたか、箇条書きにメモしておきます。

 

①各メンバーが使っていた個性ある楽器を見つける。ギターは、ギターを弾くポーズが、
既にヴィジュアルとしてパターン化しているので、できるだけ避ける(使うとしても1人だけ)。


『高嶺の花子さん/back number (Cover)』
『ムーンライト伝説/DALI (Cover)』
『春よ来い/松任谷由実(Cover)』

②各メンバーの個性あるパフォーマンスを見つける。特に手の表情を強調して、指1本1本まで描く場合も。
2.5頭身としては相対的に手が大きくなっても、全体的な動きが自然であれば、それほど違和感はない。


『Choo Choo TRAIN/ZOO/EXILE(Cover)』
『月光/鬼束ちひろ(Cover)』

③各メンバーが着用していた、キャラの個性がよく出ている衣装を見つける。右の関取花さんのデニムの上着
は、それほど目立たないモノですが、ボタンを上までキッチリ留めているのが花さんらしい気がします。


『僕と花/サカナクション(Cover)』
 『Best Friend/Kiroro(Cover)』

 

 

 

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以上、最後まで読んでくださってありがとうございました。

 

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アーティストの画像・似顔絵とパブリシティ権・肖像権

アーティストのファンサイトなどで、アーティストの画像、または似顔絵を公開することが
肖像権の侵害になるかどうかはよく提起される問題である。

アーティストが自分の画像を商用目的でないファンのブログに掲載された場合、一般人
と同様に、画像の削除を求める権利があるかについて、過去の判例では、かならずしも
その権利を認めるものではないようだ。

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事例1.いわゆる『おニャン子クラブ・カレンダー販売訴訟』における
東京高等裁判所(控訴審)判決(1991年9月26日)
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この判決では財産権の一つであるパブリシティー権の侵害で賠償責任はあるとされたが、
一方で、個人のプライバシーの保護のための権利である、人格的利益については、芸能
人は一般私人とは異なる制約を受けざるを得ないとしてる。

以下判決文抜粋:

『芸能人としての評価は、自己の出演、所属プロダクションやマスメディアを通じての宣伝
活動等により、広く全国にその氏名・肖像が知られ、大衆の人気を博することによって高め
られるのであり、被控訴人らも、このように自己の氏名・肖像が知られることにより評価が
高められることを望んでいるものと推認して差支えない。そして、かように氏名・肖像を利用
して自己の存在を広く大衆に訴えることを望むいわゆる芸能人にとって、私事性を中核とす
る人格的利益の享受の面においては、一般私人とは異なる制約を受けざるを得ない。
すなわち、これを芸能人の氏名・肖像の使用行為についてみると、当該芸能人の社会的評
価の低下をもたらすような使用行為はともかくとして、社会的に許容される方法、態様等に
よる使用行為については、当該芸能人の周知性を高めるものではあっても、その人格的利
益を毀損するものとは解し難いところである。』
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すなわち、これは、商用目的で、アーティストの知名度を利用して、画像を記載し、集客行為を
する場合、財産権の侵害になるが、商用目的でない場合の画像の記載については、芸能人
自らが自己の肖像を利用して自己の存在を広く大衆に訴えることを望んでいるものと推認され
るので、芸能人の社会的評価の低下をもたらすような使用行為をせず、社会的に許容される
範囲内であれば、人格的利益を毀損するものではないという考えである。

また、商用目的であっても、画像の使い方によってはパブリシティー権の侵害にならない
(アーティスト側の敗訴)となる判決も出ている。

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事例2.いわゆる『ピンク・レディー・ダイエット記事訴訟』における
最高裁第1小法廷(桜井龍子裁判長)の判決(2012年2月2日)
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ピンク・レディーの未唯meiさんと増田恵子さんが、週刊誌「女性自身」に写真を無断掲載され、
パブリシティー権を侵害されたとして、発行元の光文社に計約370万円の損害賠償を求めた
訴訟の上告審判決。

要旨:

パブリシティー権の定義について『肖像などは商品の販売を促進する顧客吸引力を有する場
合があり、これを排他的に利用する権利』と初判断。その上で、(1)ブロマイド写真など肖像自
体を鑑賞の対象として使用する場合(2)キャラクター商品のように、商品の差別化を図る目的
で使用する場合(3)商品などの広告として使用する場合、パブリシティー権の侵害を認めた。

ピンク・レディーのケースは「ダイエット記事に関する記事の内容を補足する目的で使われたも
ので、顧客吸引力の利用を目的するものではない」と述べ、光文社側の賠償責任を否定した。
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したがって、商用目的でなく、かつアーティストの社会的評価の低下をもたらすような使用行為
でないかぎり、アーティストの画像の記載は、人格的利益を毀損するとは考えられない(肖像権
の侵害にあたらない)と考えるに足る判決例があるものと考えられる。

そうであるなら、画像からの2次創作物である似顔絵については、上記と同様の条件において、
アーティスト側の権利を毀損するにあたらないと考えるのが妥当であろう。