エヴァ・デザインを楽しむ1
1995年にTVシリーズとして始まった『新世紀エヴァンゲリオン』は、2007年からの新劇場版シリーズの
大ヒットもあり、なんと17年が経過した現在でも人気のメディア・ミックス・コンテンツとなっていて、
その市場規模は、2011年の時点で、1500億円と言われています。
その作品内容や登場キャラクターの魅力は別にして、市場が巨大になった理由の一つに、プロモーションや
他商品とのコラボにおいて、威力を発揮するビジュアル・エレメントの優秀さがあります。
作中に登場するデザイン要素、特に、NERV（ネルフ）という国連の特務組織で使われているビジュアル要素を
取り入れると、効果的に『エヴァらしさ』が演出できるので、ファンが楽しめるコラボ企画を作りやすいのです。
今回は、食器などの雑貨、カーナビなどの機器、海外のTVなどのプロモーションに利用されている
『エヴァンゲリオンのデザイン・エレメント』を、ちょっと分析的な観点で楽しんでみましょう。
エレメントその１. 極太明朝体フォント
どういう書体(字体）かは、上の画像を見てもらえば一目瞭然だと思います。
左から、東京現代美術館で現在開催中（2012年7月10日～10月8日）の『館長 庵野秀明 特撮博物館』展
（庵野秀明はエヴァンゲリオンの監督）のタイトルロゴ、本編TVシリーズ第11話のタイトルロゴ、コラボ商品で
次回説明する携帯 docomo-SH-06Dの取扱説明書の表紙の一部です。
長体（縦長）などに変形をかけても字の勢いが衰えないボリュームのある印象的な書体で、この文字が
作中のネルフ本部の情報表示に統一的に使われていて、一度見ると忘れられないインパクトがあります。
正確な書体名は、フォントワークス社の『マティス Pro EB/UB』 （デザイン：佐藤俊泰氏）です。
なお、上画像中央のTVシリーズのタイトル・フォーマットですが、あまりに使われすぎて陳腐化してしまい、
ネルフの表示システムとも関係がないので、この記事では話題にしません。あくまで、書体推しです。
この書体を効果的に使ったコラボ商品例として、ユニークなモノを2例あげます。
『EVANGELION STORE』のキッチン雑貨で販売されている（現在在庫切れ）
『麺類補完計画ラーメンどんぶり』。全部食べると『完食』『丼底を肉眼で確認』
の文字が浮き出る工夫がマヌケかわいい。1260円。
やはり『EVANGELION STORE』で販売されている（現在在庫切れ）
『ネルフ戦術作戦本部支給コーヒー保存缶』。こういう『官給品仕様』で
普通の商品にストーリーを付加するシカケが、エヴァは抜群に上手い。
エレメントその2. 右上角欠けフレームと斜めストライプ
上の画像は、左の 『エヴァンゲリオン ポータブルナビ』
（日テレ通販）の表示画面で、エレメントに『エヴァらしさ』を
とても感じるのですが、実は、作中のネルフ本部の場面で、
これに似た表示は登場しません（斜めストライプ表示は除く）。
なぜ、本編で見かけないパターンが、これほど『エヴァらしさ』を醸し出すのかナゾですが、
下の台湾のTVの天気予報の堂々たる動画を見ると、これはまちがいなくネルフ本部の
標準インターフェイスだと勘違いしてしまいそうです。（エヴァのBGMは後付け）
この天気予報は、台湾のCG製作会社でエヴァの製作にも関わった Next Media社の
プロモーション企画だそうですが、完璧な雨量表示3Dインターフェイスに仕上がっています。
とにかく、この『右上角欠けフレーム』と『斜めストライプ』のエレメントを利用すると、
下の例ように、ネルフ風表示が簡単に作れてしまいます(^_^;)
作製のコツというほどのことではありませんが、
①少し難解な2字漢字・4字漢字をタイトルにして、英語と組み合わせる。
（上の例では、発芽玄米+germinated rice、メタボ症候群警報+warning）
②場合により、縦長バーを横に引いたり（発芽玄米）、長体に変形したり
して（メタボ症候群警報）、アクセントをつける。
というようなところでしょうか。（上の例の太明朝はマティスではありません）
『斜めストライプ』のもう一つの強力な効果は、（上の動画や本編でも確認できますが）
いわゆる『状況』がアクティブになっている時、ストライプがゆっくり右から左へと移動して
いかにも状況が進行中であることを演出してくれる点です。
上の場合は、例えば、
みたいな、イメージでしょうか(^д^;)
下の場合は、
これは、すごくイヤ。
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以上、最後まで読んでくださってありがとうございました。
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