もうDIYでいいよ。

エヴァ・デザインを楽しむ2

 

前回 に引き続き、作品内容や登場キャラクターは全部すっぽかして、『新世紀エヴァンゲリオン』の

ヴィジュアル・スタイルを豊かにしている名脇役的デザイン・エレメントを、ひたすら追いかけます。

今回は、コラボ商品の表面パターンなどに採用される『六角形パターン』と、やはり背景パターンとして

エヴァらしさを感じる、『コーナーにアクセントのあるグリッドパターン』を鑑賞します。

 

エレメントその3. 六角形パターン + 正三角形矢印

緊急時になると、ネルフ司令室の側壁に投影される六角形を単位とした不定形のパターンです。

危機に応じて、この赤い部分が側壁を覆うようになり、『状況終了』とともに消えていきます。

エヴァでは、『状況』をサインとシンボルのパターン変化である程度語らせ、それを背景に、登場人物に

別のことを語らせるという場面を目にしますが、その演出に欠かせないヴィジュアル・パターンです。

 

このパターンの基本形は、『EMERGENCY』表示の上下に正三角形の矢印状のサインを配置した

きわめてシンプルな構成ですが、下の画像のように、コラボ商品ごとに表情が異なります。

デザイナーのバランス感覚が問われるパターンかもしれません。

 

そんな六角形パターンを取り入れたコラボ商品のなかで、ユニークで美しいサンダル

PUTUTU (EVANGELION LIMITED)を、 RADIO EVA  ONLINE SHOP からご紹介します。

 

エレメントその4. グリッドパターン + コーナーにアクセント

上画像の左はエヴァの登場人物、綾波レイの部屋の壁です。

正方形のグリッドのコーナーにそれぞれ4点窪みがあるのが見えますが、これがコンクリート打ち放しによる

必然的な穴跡なのか、建築家の森山高至さんがご自身のブログ、 『建築エコノミスト森山のブログ』 の記事

『綾波の部屋は本当に打ち放しなのか?1 内で、専門家の立場から興味深い検討を加えておられます。

結論から言うと、コンクリート打ち放し工法で壁に生ずる穴(セパ穴)の跡の位置から見て、この壁は打ち放し

ではない、ということなんですが、今回は、建築工法的な観点を離れて、かなり審美的な立場から、この穴の

意味について考えを進めます。

 

それは、グリッドパターンのコーナー部分の表情に関わるエヴァのデザイン的な嗜好の問題です。

 

実は、このグリッドのコーナーに付けられた4穴パターンは、マンションの部屋以上の規模で、頻繁に登場

します。上画像の右は、ネルフの司令官、碇ゲンドウがホログラフによる秘密会合を行なうための大空間

ですが、ここでも同様のパターンが見られます。

下画像の、ネルフ本部の通路(左)や新東京市の地下避難所(右)も同パターンです。

 

これを、グリッドのコーナーにアクセント的な表情をつける傾向として、エヴァのデザイン全般に敷衍してみます。

それは、本部指令室のスクリーングリッド(下左)や、操縦席(5号機)内部のスクリーングリッド(下右)にも

当てはまるのではないでしょうか。


上画像の左は、本編で頻繁に登場するセンタースクリーンの

斜めグリッドですが、左の別場面の拡大画像で見ると、

コーナー部分のアクセント要素の正体は二次元座標のようです。

ここに座標数値が投影される合理性は確かにあるのですが、

合理性よりも、グリッドに精緻な表情をつけたいという審美的な

要請によって、デザインが施されている印象があります。

 

 

コーナーにアクセントのあるグリッドパターンは、コラボ商品でも見ることができます。

 

上画像左は、携帯カバーのパターン、右はアプリ画面です。

どちらも、左のエヴァ・スマホ 『docomo-SH-06D NERV』 からの

画像です。SH-06D は、前回でも紹介した『官給品仕様』商品で、

ネルフ本部のコンピュータシステムにアクセスしているようなインター

フェイスが評判になりました(2012年6月、限定3万台販売、即完売)。

 

このエヴァ・スマホSH-06D は、最新の3D表示技術によりエヴァの世界に近づいた部分もあるのですが、一方で

エヴァというより攻殻機動隊っぽい所作もあって、エヴァデザインの統一感という点では、難しいところもあります。

 

エヴァデザインは、デジタル的なニューロンの間隙に紛れていくというよりは、もっと肉感的で、きわめて輪郭の濃い、

ある意味『大時代的』な感性があり、そのデザイン表現に微妙なさじ加減が要求されるような気がします。

まあ、このあたりの感性は、ヨナデンがつべこべ言うより、既に昨年、輪番停電情報のボランティア・サイトで、

圧倒的に水準の高いエヴァ風デザインの応用がなされていて、周知のことではあるのですが。

 

 

 

さて、イラストに興味をお持ちの皆様、LINEクリエイターズ・スタンプはご存知ですか(ヨナデンの体験記へ)。

現在、ヨナデン・ロクタのスタンプとして、下の『僕が信じてる40の事』という、ちょっと変わったタイトルの

のスタンプが、40個1セット100円で販売中です。

よろしければ、ラインのスタンプストアをのぞいてみてくださいませ。

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以上、最後まで読んでくださってありがとうございました。

 

  『エヴァ・デザインを楽しむ 1 』 (極太明朝体と周辺デザインの効果的な演出法)

  『セレンディピティ仮説』 (セレンディピティとは、ホントはどんな能力のか?)

  『アトムスーツと太陽の子』 (放射能の脅威と共に生活する時代が来てしまった)

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