人物イラストと省略
webコンテンツとして、pc で人物イラストを描く技法シリーズの2回目です。
前回は、上半身の動画資料しかない男性シンガーの全体像を、参考資料を
組み合わせて仕上げるコツを話題にしました( 『人物イラストと参考画像』 )。
今回は、女性シンガーのイラストを例に、スケッチ風のイラストの特徴である
『全部を描ききらない』、『あえて途中で作業をやめたように見せる』という
省略技法について話題にします。
まず、今回新しく描いた人物イラストをご覧ください。
音楽集団Goosehouse(グースハウス)のメンバーの
竹渕慶(たけぶち・けい:上)さんと
竹澤汀(たけざわ・みぎわ:下)さんです。
前回と同じく上半身だけの動画資料を元にした創作イラストです。
単に画像をトレースしたように見えるかもしれませんが、
下の元動画(YouTube)を見ていただくとわかるように、
元動画から連想したイメージを優先させて、かなり大胆に
描き変えました。
上の竹渕慶さんは、普段は明るい笑顔の人ですが、一瞬の憂いを
帯びた表情をとらえました。また、ファッションが70~80年代風
にも見えたので、クラシックカーを背景に演出してみました。
下の竹澤汀さんは、マリンシャツと白ソフト帽のコーディネートが
可愛く、シャツ柄とお揃いのアンクレットをしているのを別動画で
発見したので、それを魅力的に見せるポーズを演出してみた。
さて、今回のテーマは省略技法。注目したいのは、下のような部分です。
まあ、これは、描くうちにメンドクサクなって、途中でやめたり(^Д^;)
最初に荒く描いた部分をそのまま残したりする場合も、あるのですが、
細かく描きこんみると、案外、全体に面白みがなくなったので、
再度、荒いストロークで描き直したという場合も、あるのです。
というのは、荒いストロークで、一見ぞんざいに見えるスケッチの部分は
細かく描き込んだ部分をより目立たせ、手前に浮き出させる効果があって、
スケッチにメリハリをつけ、イキイキとさせる、大切な要素なのです。
だから、対象物をスケッチする時、どの部分を手をかけて描き込むか、逆に
手を抜いて緩急をつけるのはどの部分かを決めることは、画面の緊張感を
左右する重要な作業だと思います。
例えば、マリンシャツの竹澤汀さんのイラストでは、アンクレットをつけた
左足にポイントを置きました。その分、右足からギターにかけて途中で仕上げを
終えたような処理にしています(下画像:左)。
前に紹介したd-iZe さんのイラスト では、彼の手のポーズと投げ出した足の動きに
注目してほしいので、腰から腹にかけて省略気味にしています(下画像:右)。
背景の建物なども、輪郭線を一部残したままにすると、描きたい場所を選んでいる
作者の意図をそれとなく伝えられます(下画像。右は『美術館の階段』より)
絵の技法に『ぼかし』がありますが、スケッチのストロークを残す省略法は、
それと違うことがお判りいただいたと思います。『ぼかし』はレンズの焦点
効果という物理現象に近似させていますが、ここで説明しているのは、
もっと恣意的な、描きたいモノ、描かなくていいモノを自分で決めていく、
ある意味で原始的な、描く態度に関わる技法です。
こういう省略が使えるのは、ストロークの描線を重ねたスケッチ風イラストの
利点で、例えば下のようなゲームのドット絵的なイラストの場合は、また別の
省略技法を考えなくてはいけません(画像は 『俯瞰(ふかん)図のコツ』 より)。
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以上、最後まで読んでくださってありがとうございました。
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