もうDIYでいいよ。

中世風の書見台を作る

 

DIYの作品は、完成まで一気に仕上げてしまう場合と、のんびり中断しながら時間をかけて作る場合があって、

今回紹介するのは明らかに後者の場合で、しかも時間がかかりすぎて、ちょっとヤバくなっている『書見台』です。

早く完成させるべく自分にパッパをかける意味でも、中間報告します。

それから、参考作品を探している過程で見つけた、素敵な書見台を、数点ご紹介します。

 

 

以前から中世の写本の美術書を集めていて、それを眺めたり、気に入った頁を飾っておく目的の、大型の書見台を

DIYで作ろうと製作を始めました。木材はウォールナット(上のタイトル画像の未処理の断面に印が見えます)で、

無垢材でも美しい世界3大銘木の一つです。⇒ 『木肌が美しい世界の木材』  

両サイドの補強的なアクセントに自作の銀の飾金具を付けます。⇒ 『銀のタグ・プレート(前編)』

 

 

書見台のテーマは、写本が似合う『中世風』。実際の中世の様式というのではなくて、分かりやすく言ってしまうと、

映画ハリーポッターに登場する『ホグワーツ魔法魔術学校にある調度品』のようなイメージ。

この書見台の最大の見所は、中央の3つの縦楕円のアルコーブ。ここは、船底の骨組みのような半球形の凹部に

なっていて、完成するとインパクトがあると思います。ただの意匠ではなくて、実は上下2枚の板をつなげるために、

構造的に必要なもの。大きすぎて 610mm×440mm という一枚板は入手できなかったのです。

サイドテーブルの土台部分にジョイントできるようにも設計しました。 ⇒『DIYで多機能テーブル』

この楕円部分にとりかかる寸前で、なぜか作業が失速して中断しています。

 

 

 

さて、実際の中世の書見台はどんなモノだったのでしょうか。下画像左は、イタリアのシエナ大聖堂の書見台

(lectern)で、典礼用の豪華時祷書が似合うような立派なものですが、この鋭角の三角柱タイプの素朴なものが

中世から使われてきたようです。右は15世紀の個人用の写字・書見台(おそらく木製)で、支柱にネジが切って

あるものを、様々な中世資料で見かけます。これは憶測ですが、高さの調整用ではないでしょうか。

このもっと原始的なタイプが、修道院の写本作製室(スクリプトリウム)などでも使われてきたようです。

こういう急傾斜タイプのものでなく、傾きが穏やかな書見台も存在します。⇒ 『コンパクトな居住装置 1 』

 

こうして、書見台について、いろいろ検索していく途中で、古典的な端正さがあり、かつモダンな書見台を

見つけましたので、海外と日本のサイトから、それぞれ1例だけ紹介します。

 

Bodleian Libraries’ Shop 
   UNIVERSITY  OF  OXFORD

オックスフォード大学のBodleian 図書館のショップより、『 The Bodleian Bookrest 』 £175.00
オークの無垢材によるオックスフォードシャー・ハンドメイド。このタイプがボドリアン図書館閲覧室で
数世紀にわたり使用されてきた。フラットに折りたたみ可能。

 

 

woodworker  dada  
オリジナル家具工房 木工駄々

北海道・旭川近郊の家具工房『木工駄々』さん のサイト。この書見台は、『大型英語辞書が
手放せない専門家のお宅で、リビングで気軽に辞書を参照するために注文されました。』と
解説があり、受注によるオリジナル一点モノである。 カーブの立ち上がりが古典的で美しく、
同時に現代的な様々なギミックも仕込まれている。作者の岡崎功(おかざきいさお)さんは、
スペインで長く生活された経験があり、そのエコーが作風のどこかに感じられる。

 

以上、最後まで読んでくださって、ありがとうございました。

  『聖ヒエロニムス謎の書斎』  (名画『書斎の聖ヒエロニムス』の謎の書斎に迫る)

  『雲形文様がなんか好き』  (雲形文様にまつわる話いろいろ)

  『掌(てのひら)の指輪』 (手のモチーフにまつわる話いろいろ)

  『銀のツマミの菓子器』 (男性でも使えるシンプルな菓子器の製作)

  『銀のタグ・プレート(前編)』  (コーヒーフィルターホルダーと銀細工)

  『銀のタグ・プレート(後編)』 (割れたプレートの修復と完成)