もうDIYでいいよ。

優勝住宅:30㎡の快適

アメリカのインテリア・DIY・ライフスタイルの総合サイト、 Apartment Therapy(アパートメント・

セラピー)が、毎年行っている 『かなり狭いけど、かなりクールな、住宅コンテスト』  である

『Smallest Coolest Home Contest 2013』 が始まった頃に、当ブログでも紹介しました(5月)。

 

当ブログの記事の頃は、コンテストに応募した住宅が集まりつつある状態で、その中でヨナデン的に

気になった3例をピックアップしてご紹介しただけですが、その後の結果を、各部門のファイナリスト

に残った住宅も含めて報告したいと思います。

 

ブログで紹介した3例のうち2例がファイナリストとして残り、そのうち1例が、インター ナショナル

部門で優勝していました。グランプリになった住宅は、5月の記事の時点でエントリされて なかった

ように思いますが、はっきり覚えていません。とにかく30.6 ㎡(340 平方フィート)という、 とても

小さな住宅がグランプリに輝きました。

 

グランプリ

Garrett さん エントリ住宅
ティニータイニー部門 : 340 sq.ft.(30.6㎡)/ ニューヨーク
この住宅の小ささと、それを感じさせない素晴らしい魅力は、下の画像からは、
伝わらないかもしれません。ぜひ下の詳細記事をご覧ください。

 

インターナショナル部門 優勝

Carmen さん エントリ住宅
インターナショナル部門 : 570 sq.ft.(51.3㎡) / シンガポール
この住宅は、上のグランプリよりかなりフォトジェニックで、下の画像でも
その魅力が充分伝わります。詳しくは前記事 『Small cool 2013』を 参照。

 

リトル部門ファイナリスト

Kiera さん エントリ住宅
リトル部門 : 750 sq.ft.(67.5 ㎡)/ ワシントン D.C.
この住宅は、シンメトリーのアイテムの配置と色の使い方がとても参考に
なります。 詳しくは前記事『Small cool 2013』を参照。

 

上で部門名が出てきましたので、コンテストの概要を再度整理します、この『 small cool  』では、

1000平方フィート(1000 sq.ft.=約90 ㎡)未満という(欧米感覚では)比較的狭い住宅を対象に、

ベストなインテリア住宅と認められたものにグランプリを授与しています。

 

グランプリは、インターナショナル部門を除く4部門から選ばれ、賞金は 3000ドル(30万円)、

インターナショナル部門を除く各部門ごとのファイナリスト賞金は 750ドル(7万5千円)となって

います(1ドル=100円として換算)。

 

各部門は住宅面積で分けられています(元基準:平方フィートを平方メートルに換算)。

◆ティニータイニー部門 (TEENY-TINY) ————36㎡(400 sq.ft.)以下

◆タイニー部門(TINY)————————————-54㎡(600 sq.ft.)~36㎡(400 sq.ft.)

◆リトル部門(LITTLE)————————————72㎡(800 sq.ft.)~54㎡(600 sq.ft.)

◆スモール部門 (SMALL) ——————————-90㎡(1000 sq.ft.)~72㎡(800 sq.ft.)

◆インターナショナル部門(INTERNATIONAL)——90㎡(1000 sq.ft.)未満 ( アメリカ以外 )

 

では、グランプリ住宅と、リトル部門ファイナリスト住宅をご紹介します。     

 


グランプリは、典型的な shoebox タイプの住宅
鏡の背面の壁面収納ベッドがポイント高い

 

グランプリ
Garrett さん エントリ住宅
ティニータイニー部門 : 340 sq.ft.(30.6㎡)/ ニューヨーク(←link)

Garrettさんのこのスタジオタイプの住宅は、おそらく全体でも3m×10m程度しか

ない広さでしょう。この面積の中に、バス・トイレ・キッチンが収納されています。

そう、はっきり言って、かなり狭いのです。

この手の長方形型の狭い住宅を、『靴箱(shosebox)』と、否定的に呼ぶことは、

前記事 『靴箱のエレガンス 2 』 でも詳しく紹介しました。 そして、その記事で、

狭さを感じさせず、豊かに暮らす知恵としてのデザインの力 を再確認しましたが、

このGarrettさんのお宅も、その好例になっています。

 

ここで見られるデザイン的な配慮は、以下のようなものです。

 

1)家具を多く置かない。選び抜いた上質な質感の家具を少し置く。

2)部屋の機能に思い切ったメリハリをつける。

3)マーフィー・ベッド(壁面収納ベッド)によって、必要な時だけ寝具を出す。

 

2)については、Garrettさんはキッチンにあまり重きを置かず、この部屋では

テイク アウト的な食事になりがち(外食中心?)なことを述べています。

おそらく、それはGarrettさんが書斎的なスペースを優先させた結果だと思います。

あれもこれもと機能を求めず、優先順位をつけて部屋をスッキリ見せています。

 

 

3)の収納ベッドについては、錯視効果によっても部屋を広く見せていた大きな姿見

の裏面がベッドになり(おそらく鏡面は、ベッド下にそのまま固定されて下降)、

リビングをスッキリ見せるのに、圧倒的な効果を発揮しています。

 

アメリカでは、マーフィー・ベッドと普通呼ばれている、この収納寝具は、日本では

まだ一般的ではありませんが、 『靴箱のエレガンス 3 』 で、同じくニューヨークの

リトル イタリーの住宅例を紹介しました(下画像)。

このお宅も、29㎡という狭さでしたが、 テーブルを兼ねていて、スッキリした

リビングになっていました。 やはり、30㎡程度の住宅で、リビングの快適さを

確保する場合には、必須アイテムかも しれません。

 

 

 


どこかに植物の繁殖に対するリスペクトを感じる
Adam さんの不思議な感性のお宅

 

スモール部門ファイナリスト
Adam さん エントリ住宅
スモール部門:936 sq.ft.(84.2㎡)、ロサンジェルス・カリフォルニア (←link)

青味が美しい手作り感を全面に出したパッチワーク。無造作ともいえる観葉植物の

レイアウト。どこかに東南アジアのエコーを感じるインテリア。この画像を見た時、

80年代の山本政志監督の映画『ロビンソンの庭』の感性に近いものを感じました。

Adam さんは、インテリアのテーマを『快適さと暖かさ』としていますが、快適さ

の中に、自然の無秩序に対するある種の畏怖と信頼があるように思います。

 

 

以上、最後まで読んでくださってありがとうございました。

2014年のコンテスト優勝住宅については、『優勝は19世紀の住宅』 をどうぞ。

2014年 のコンテストの様子については、『 Small Cool 2014 』 をどうぞ。

 

 

  『優勝は19世紀の住宅』 (Small Cool 2014 のコンテスト優勝住宅の紹介)

  『SMALL COOL 2014』 (2014年の小住宅インテリア・コンテストの様子)

  『SMALL COOL 2013』 (アメリカDIYサイトで人気の小住宅インテリア・コンテスト)

  『靴箱のエレガンス 2 』 (海外ブログ shoebox dwelling の小住宅記事紹介)

  『靴箱のエレガンス 3 』 (海外ブログ shoebox dwelling が紹介する寝具特集)

  『風のヒヤシンスハウス 1  』  (詩人 立原道造が紡ぎだす風の小住居。その概観)

  『方丈庵を解体してみる 』  (京都・河合神社の方丈庵レプリカ の構造を詳しく観察)

  『方丈:移動可能という夢 』  (方丈庵はこうして移動?庵のインテリアにも原典から迫る)