もうDIYでいいよ。

靴箱のエレガンス 3

 

 

ブログ『 shoebox dwelling 』 (←link) の記事特集、3回目です。

 

『shoebox dwelling (靴箱的に住まうこと)』  のブロガーであり、デザイン・ジャーナリストの

Natalia Repolovsky が記事にした小住宅を、前回、ご紹介しました(←link)

彼女が選ぶ小住宅は、靴箱(shoebox)的と否定的に扱われるタイプの

古い物件を、上手にリノベーションした魅力的な住まいが多く、

住まいを選ぶ際の彼女の視点を、次のようにまとめてみました。

 

スペースを有効利用した小さい生活空間であること。
小さいけれど、みじめではない、 住む人の尊厳を確保する
高品質で心地よい住まいを目指す。
     

 

そんなNatalia の小住宅の記事の中でも、特に、彼女がこだわっているモノが

あります。それは、 『ベッドまわりの空間』 です。

ヨナデンが知っているかぎりでも、『収納ベッド』テーマだけで、4つ以上の動画、

5つ以上の記事がエントリされています。

 

どうしてベッドにこだわるのか、真相は彼女に聞いてみないとわかりませんが、

想像するに、小住宅を快適に住まうためのライフスタイルの問題が、ベッドの

あつかい方に集約されているからだと思います。

 

なぜなら、住宅の規模が小さくなればなるほど、どうしても削れない『寝る場所』

の問題がクッキリと現れてくるからです。

ちょっと、下の画像を見てください。

 

これは、日本のビジネスホテルの典型的なシングル・ルームの見取り図です。

お仕事で出張が多い方は、利用される機会もあると思います。

この15㎡~20㎡ほどの空間の目的は、まず快適な睡眠を確保することで、

最近ではシングル・ルームでもベッドは大きいことをアピールするホテルが増え、

部屋の中でのベッドの存在がますます目立ってきています。

 

もちろんシングル・ルームは帰って寝るという一点に特化した部屋であり、

トータルな住居ではありませんが、小住宅とベッド・スペースのアンバランスを

極端な形で示していると言えます。

すなわち、

小さい住空間に、常設の寝具を工夫なくデンと置いてしまった時の圧倒的な占有率。

睡眠時以外はあまり機能しない道具が、リビングや書斎としてのスペースを制限して

しまう理不尽さ。こういった課題は程度の差はあれ、小住宅に共通のものです。

 

はたして、小住宅は、ベッドスペースを小さくしたり、快適な睡眠をある程度我慢したり

するべきなのでしょうか。

Natalia は、ユニークな小住宅のベッドスペースを紹介することで、『デザイン的な工夫

によって、快適な睡眠スペースは確保できますよ!』と、答えているように思えます。

 

前フリがまたまた長くなりましたが、彼女が紹介するベッドスペース確保のアイデアを

次の2つのアプローチから見ていきましょう。


収納・展開が簡単なベッド

 

ロフトのベッド・スペース

 

 


収納・展開が簡単なベッド

 

不必要な時に寝具を収納するアイデアは、つい最近まで日本ではほとんどの家庭で

採用してきたものでした。布団+押し入れという優れたシステムは、現在、旅館を訪れる

外国人に称賛されています。

ベッドの場合、ベッド枠そのものを収納するため、収納システムが大掛かりになります。

murphy hack in nyc (2012/03/22記事←link)

収納ベッドによる解決術 in ニューヨーク

ニューヨーク・リトルイタリーの320平方フィート(約29㎡)のスタジオタイプの改築例。

ブルックリンのデザイン会社『 Bigprototype 』が担当。

この壁面組込の収納ベッド( murphy bed )は、ウォールナット天板のシンプルな

テーブルも組み込まれていて、ベッド収納時には、テーブルスペースに早変わり。

一番下画像は、部屋の奥(冷蔵庫前くらい)から手前入口側を撮ったものだが、

かなり狭いshoebox住居であることがわかる。まさにこの収納ベッドの存在なしでは

手に入れられない住居空間といえる。 

 

 

 

 

130 sq ft paris apartment  (2013/04/10記事←link)

 

130平方フィートのパリのアパート

こちらは、なんと130平方フィート(約12㎡)のパリ・モンパルナスのアパート改築例。

建築家Marc Baillargeon と Julie Nabucet によるプロジェクト。

キッチンの床下部にベッドのマットレス全てを収納できる。昼間はマットレスを重ねて

ソファとしても使える。ベッド右側の階段も奥部分を引き出して収納スペースとして活用。

 

 

 

 

 

ロフトのベッド・スペース

 

ロフト部分を作ってベッド・スペースにするアイデアは、省スペースの常設ベッドとしては

ポピュラーなものですが、デザイン次第で、窮屈さを感じないステキな空間になります。

 前回はハシゴで昇るシェイカー調ロフトと近未来的なロフト(←link) を紹介しましたが、

今回は印象的な小ぶり階段のあるロフトを見ていきます。

east village studio (2012/03/27記事←link)

イーストビレッジのスタジオタイプ住宅

ニューヨークのデザイン事務所『Jordan Parnass Digital Architecture(JPDA)』

のプロジェクト。イーストビレッジの典型的な細長いスタジオタイプ住居を改修して、

垂直方向に拡大(おそらく最上階のため、ロフト部分の天井など高くできたと思われる)、

寝室、ホーム オフィス、エンターテイメント エリア、ウォークイン ・ クローゼットなど

大型の設備の追加が可能となった。

 

 

 
small  swedish apartment (2012/06/14記事←link)

 

スウェーデンの小さなアパート

スウェーデン・ヨーテボリのアパート。38㎡だが、狭さを感じさせない。

ロフトの天井まで連続している本棚が、ロフトまわりをスッキリ見せている。

本棚横の木のドアに見えるのは出入り口ではなく、階段下のクロゼットと

あわせて衣服の収納に使われている棚のスライドドア。

 

  

 

 

 

以上、3回シリーズでお届けしたブログ shoebox dwelling の紹介を終わります。

今後も興味ある記事があれば、随時紹介していきます。

最後まで読んでくださってありがとうございました。

 

  『靴箱のエレガンス 1 』 (海外ブログ shoebox dwelling のインテリア記事紹介 )

  『靴箱のエレガンス 2 』 (海外ブログ shoebox dwelling の小住宅記事紹介)

  『SMALL COOL 2013』 (アメリカDIYサイトで人気の小住宅インテリア・コンテスト)

  『優勝住宅30㎡の快適』 (Small Cool 2013 のコンテスト優勝住宅の紹介)

  『方丈庵を解体してみる 』  (京都・河合神社の方丈庵レプリカ の構造を詳しく観察)

  『方丈:移動可能という夢 』  (方丈庵はこうして移動?庵のインテリアにも原典から迫る)

  『風のヒヤシンスハウス 1  』  (詩人 立原道造が紡ぎだす風の小住居。その概観)