ラバーカップの達人
今回はトイレ・メンテナンスの話ですので、お食事中の方はご注意くださいませ。
ただし、映像はイラストとイメージ画像だけにしますので、安心してご覧ください。
さて、タイトルの『ラバーカップ』とは何かといいますと、少し前に twitter で
リツイートされまくった下の画像、『電車の達人』 を覚えておられますか。
そう、トイレのツマリを解消する、あの道具のことなんです。(注1)
まあ、この画像は新品を使っていると信じたい、というか、明らかにネタだと
思いますが、この道具、イザというとき大変重宝します(電車では使わない)。
というのも、最近、実家のトイレで母がトイレットペーパーをよく使うせいか、
時々、トイレ(洋式)がつまることがあり、数回試しているうちに、この道具を使う
スキルがすっかり身につきましたので、今回、それをまとめたいと思います。
洋式トイレの場合
『洋式』ラバーカップ(大)が
使いやすい。
ただし、便器の大きさによる。
市販されているラバーカップは、普通のカップ型のモノと、カップの先が狭まり出っ張りが
あるモノ(『洋式』)の2種類があり、出っ張りがあるモノは大と小に分かれているようです。
一般的な洋式の水洗便器は、水の流れ出る部分が複雑な形になっているため、カップ型
では、完全にシールドできないので、『洋式』(大)がいいと思います。ただし、洋式便器で
小型のタイプがあり、『洋式』(大)では出っ張り部分が挿入できない場合がありますので、
排水口の径を計って、購入する方がよいでしょう。
ツマリの個所は意外に近い。
水洗トイレのしくみを理解して
ツマリが解消していく
イメージをハッキリさせる。
水回りの業者さんの話では、 便器から伸びて下水管に通じる排水パイプの途中で、ツマリが
発生することはあまりなく、ツマリのほとんどは、便器内部の曲がった個所の水路で起こって
いるということです。
便器の断面を見ると、いろいろな種類があることがわかりますが、それでも、すべて共通して
いるのは、水路が凄い急カーブで曲がりくねっていることです。
これじゃあ、ツマリやすいわけだ!と、思ってしまいますが、この曲がった水路には、2つの
深い理由があります。
その①排水トラップ。下水管からの臭いや硫化水素、また害虫が水路から逆流してくるのを
防ぐため、この曲がった個所で常に水を溜め、通気を遮断する構造になっています。これを
封水(ふうすい)と呼びます。これは、キッチンシンクや洗面ボウルの配管にも見られます。
その②サイホン構造。便器内の水と下水管の高さを比べると、下水管の方が低く、両者が
水で満たされたパイプでつながると、便器内の水は凄い勢いで吸い出されます。これが、
サイホンの原理を応用した水洗トイレで、この排水力は非常に強く、いったんトラップの
封水も含めてすべて吸い出されます。ここで封水が破られ(破封)、通気してしまいます
(水洗トイレで水を流した時の大きな音はここで発生します)が、その後、タンクの水が
流れて、再びトラップを満たします。こうして汚水が便器内に残ることなく、封水が常に
新しい水に入れ替わる構造になっています。
ツマリは、このトラップの先、水が満たされやすいように曲がった上昇管が下行管と
つながる個所で起こりやすく、ここにラバーカップの水圧による振動を与えて、ツマリを
ほぐして、水の流れを再び作り出すようにするわけなのです。
作業を始める前に、まず、
①汚水が便器からあふれること
②作業中、汚水がハネること
への、準備をする。
便器の水面近くまで水位がある状態で、ラバーカップを押し込むと、タンクの排水弁が開いて、
タンクの水がさらに流れ込み、汚水がトイレの床に溢れることがあります。
それに備えて、トイレの床にある、トイレマット、スリッパ、トイレットペーパー、各種消臭剤などは、
いったん、退避させておきます。できれば、長靴や古い運動靴などを履いて作業したほうが、
足が濡れる心配をせずに、腰を入れて作業ができます。
また、作業中は汚水がハネることがありますので、45リットル以上の大きな透明のビニール(ゴミ)袋を
数枚用意し、その一つを切って展開して平面にし、中央に穴をあけてラバーカップを通して作業すると、
ハネがある程度防げます。ビニール袋は、濡れてしまったトイレマットなどを入れたり、すっかり濡れて
しまう穴を開けたビニールやラバーカップ自体を片付ける場合にも重宝します。
2~3回で通じると思うな。
グッと押して、ポンと引く、
グッと押して、ポンと引く、を
リズミカルに繰り返し、
ツマリをほぐすイメージで
水回りの業者さんを呼んで作業してもらう場合でも、たいていは、このラバーカップから
試されます。それで、通じてしまえば、ひと安心ですが、なんか悔しいじゃないですか。
それで、作業料、5000円~10000円程度は覚悟しておかないといけません。
みたいな、負け惜しみを言わないためにも、できれば自分でトライして通水させたいものです。
(代わりに利用できるトイレの確保をまず考えましょう。業者さんを呼んだ場合でも直ぐ来てくれる
とはかぎりませんので)
まず、水面が低い場合は、カップ部分をおおう程度は、水を追加します。ここでタンクのレバーで水を入れ
ないようにしてください。水が入りすぎて便器から溢れるおそれがあります。水を汲んだバケツを横に置いて
作業しましょう。カップ部分を水に沈めるのは、空気が入らないようにするためで、これで真空ポンプのように
引っ張ることで、ツマリが少しずつ手前に移動してほぐれていき、水の通る筋道がついて、端から流れて行く
感じです。だから、ゆっくりグッと押し込んで、一気に引き上げる動作をワンセットにして、何回もリズミカルに
繰り返し、ツマリに振動を与えることが大切です。
このとき、ラバーカップから手元に水の抵抗が伝わっているか絶えずチェックしてください。
塞がっているパイプに対して無理やり押したり引いたりするワケですから当然、水の抵抗があるハズで、
これが無い場合、カップのシールドができてなくて、カップと便器のスキマに水の抜け道がある可能性が
あります。これでは、ツマリに効果的に圧力をかけられないので、カップの位置を修正します。
しばらく作業すると、ゴボッという音がして、水が引き始めます。
バケツの水を溢れない程度に追加して、水が普通に流れたら、ツマリは解消しています。
そこで、アナタは、はじめて、水路が通じた達成感に、喜びをかみしめるでしょう。
(いや、別に、ラバーカップぐらいで、喜びをかみしめなくてもいいんですが‥)
最後に、ラバーカップをトイレに常備しておく場合、やはり先端のカップ部分が見苦しい感じがします。
それを上手く隠して収納する下画像のような容器が最近は登場しています。
最後まで読んでくださってありがとうございました。
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注1) 『ラバーカップ』は和製英語で、英語での正式名称はプランジャー(Plunger)と呼ばれる。
その他、『ギュッポン』『ボンテン』『ガッポン』『スッポン』『ズッコン』『パッコン』『ヘプシ』など、
地方によって、さまざまな呼名がある。『通水カップ』とも言う。