このイス、どこに置く?3
第3話 【『レッド・アンド・ブルー』と『ヒルハウス』】
”巨匠もの”の家具のレプリカがクソ高かった時代に、どうしても欲しくてマッキントッシュの
ハイバック・チェアをショールームで即買してしまったヨナデンでありました。
ホントに価格に関しては今の時代に買える人がうらやましいかぎりです。
ちなみに右にあるのは、これもまたキュートな、リートヴェルトの”赤と青の椅子”(red&blue chair:
G.T.Rietveld:1917)です。このイスも魅力のカタマリといっていいでしょう。
ただし、このイス、部屋に置く家具としては、難易度が高めだと思います。
まず、ハイバック・チェアのように壁にそわせてコンパクトに置くことに不向きです。
それ自体かなり大柄な上に、回りにスペースの余裕を持って置くと見栄えがバツグンなため、
空間占有率が高くなりがちです。
そこまで場所をとって置いても、このイスはリクライニングシートのようなすわり心地は提供しません。
背面と座面の硬さが『精神を覚醒』させます。これは皮肉ではなく褒め言葉です。
リートヴェルトが参加した芸術運動体”デ・スティル”の評論家達もそう言っています(^Д^)
いろいろ書きましたが、そんなハードルを乗り越えても手元に置きたい何かがこのイスにはあります。
たとえば1Fがショールームになっているデザイン系の事務所にポツンとこのイスが置いてある時の
アイ・キャッチャーぶりときたら、驚くべきものです。
まあ、そいいう意味でも、最初の『お気に入り』家具として、この『ヒルハウス』は、あつかい易さでは
最適だと思います。なにしろ140cmも高さがあるのに、重さは3kgしかありません。
マッキントッシュは、色々なタイプのハイバックチェアを作りましたが、これほど軽やかなものは他に
ありません。第1回目で書いたように、もともと狭い場所にも似合うような出自を持ち、それでいて
広間に置いても少しも貧弱に見えない自在さがあります。フィリッポ・アリソンという研究家がこのイスを
詳細に測定した記録がありますが、それによってこのイスを構成する線材がどれほど繊細なセンス
で形作られているか明らかになりました。これについては次回お話しようと思います。
さて、こうして部屋に迎え入れたハイバック・チェアでしたが、その後どうしたかというと、最初は
梱包を開けたものの、直ぐ包みなおし、あきれたことに、なんと3年以上、ほったらかし‥‥
こうして、いつ晴れてこのイスを部屋に置けるのかワカラナイという状態でありましたが、
下の画像のような不思議な形態の鏡&ワードローブ的な家具を寝室の奥の壁にDIY
で作ることになって、自然にイスの置き場所も決まってきたのでした。
『このイス、どこに置く?1』 (第1話【ハイバックチェア『ヒルハウス』のオリジナル位置】)
『このイス、どこに置く?2』 ( 第2話 【邸宅ヒルハウスの寝室の双子のイス物語】)
『このイス、どこに置く?4』 (第4話 【『ヒルハウス』の美しさのヒミツを構造から読み解く】 )
『なにげに超大型プランター 2 』 (大型室内プランターの水ハケなどの工夫を紹介)
『どこでも階段(収納庫) 1 』 (脚立・兼、収納庫が、リビングを自由に移動)
『DIYで多機能テーブル』 (キッチン補助台・彫金作業台・料理サーブテーブル・ノートPC放熱テーブル兼用)
『スリット家具は七難隠す』 (効果的に隠しながら閉鎖感のないスリット家具のDIY)