もうDIYでいいよ。

このイス、どこに置く?2

第2話 【寝室の双子のイス物語】

 

マッキントッシュのハイバック・チェアのお話の続きです。

このイスのオリジナルがイギリス・スコットランドのへレンズバラという場所にある

”ヒルハウス”という邸宅の2階の寝室に置いてあり、かつてヨナデンも見学に行きました。

 

そして、このイスの特別な定位置として、2つのワードローブの間に収まった姿を紹介しました。

 

この寝室には、実は、もう一脚、まったく同じ型のイスが配置されているのです。

 

マッキントッシュが残した平面図にも、それがはっきり示されていて、設計段階から

『寝室の2つのイス』というイメージが、彼の頭の中にあったことが伺えます。

この平面図を見ながら、寝室をぐるっと見渡してみましょう。

 

このもう一つのイスの方は、(おかしな言い方になりますが)本来の椅子として”座るために”

使われたようで、下の画像のように、平面図の位置から見ても微妙にあちこち移動しています。

 

しかし一方、あのワードローブの間のイスは、どの記録をみても微動だにしていません。

というか、もういちど最初の画像を見ていただきたいのですが、このイスのまわり、

めったなことで手が出せないようなオーラを感じませんか?

別の言い方をすれば、アナタ、ここに座りたいですか?もちろん物理的に座ることはできますが、

ここに座ったアナタは、自分が絵的に余計な要素であることを感じないではいられないでしょう。

 

たかだか数平方mの空間ですが、『このイス以外、なにも付け足してはいけない。

このイスもここから動かしてはダメ。』と、人に納得させるだけの完璧に構成された空間を

創り出せる能力に尊敬の念を持たずにはいられません。

マッキントッシュは、このイスが”座れないイス”であることを、最初から判っていたように思えてなりません。

だから、”座れるイス”をもう一脚この部屋に置いたというのは、深読みしすぎでしょうか。

 

 

さて、ヒルハウスを見学して、すっかりイスが気に入ったヨナデンは、レプリカがクソ高い時代に

購入を決心してしまうのでした。その話は次回。

  『このイス、どこに置く?1』 (第1話【ハイバックチェア『ヒルハウス』のオリジナル位置】)

  『このイス、どこに置く?3』 (第3話 【『レッド・アンド・ブルー』と『ヒルハウス』を比べる】)

  『このイス、どこに置く?4』 (第4話 【『ヒルハウス』の美しさのヒミツを構造から読み解く】 )

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