ロクシタン・ヴァーベナ
2012年2月のスケッチは、フランスの自然派スキンケア・ブランド『ロクシタン』のオードトワレ『ヴァーベナ』です。
シアバターで女性ファンが多いロクシタンですが、メンズあるいはユニセックスの商品もあって、このヴァーベナも
その爽やかな柑橘系の香りが男女問わず好まれています。
香りはどちらかといえば夏用なんですが、ヨナデン家では下の画像のように洗面所に一年中置いておいて、
冬場はオードトワレとしてではなく、来客時のサニタリー周りのルームフレグランスとして使っています。
この画像の上に見える収納棚のレリーフですが、『玄関をクラシック・モダン化 2 』で登場した、壊れたローマ
の柱頭のレプリカの再利用です。サニタリーのこまごましたケア用品を、きれいさっぱり一掃したこの収納棚の
レポートは、機会をみて開始します。
さて、『ロクシタン(L`Occitan)』という名前の由来が、『オック語が話される地域』という意味の『オクシタニア』
(Occitania)からきていることをご存知の方も多いと思います。イタリアやスペインが含まれることもありますが、
オクシタニアは狭義にはピレネー山脈を挟んでスペインと接するフランスの南部地方全体(バスク語圏などを除く)
を示し、なかでも地中海沿いの南端部は『ラングドック(Languedoc=これもオック語の意味)』と呼ばれ、中世
には、その先取りの精神と自由を尊重する気風から、『宮廷詩人(トルバドゥール)』などの優れた芸術が生まれ、
その文化的隆盛は、パリを中心とする北フランスを凌ぐほどだったといわれています。
ちなみにロクシタンの本社は、このラングドック地方のすぐ隣、プロヴァンス地方の都市マノスクにあります。
このように、オクシタニアという言葉には豊かな文化の香りが漂っていますが、それと同時に、悲劇的な陰影が、
この言葉にはまとわりついています。 というのも、この地方は、その最盛期にあたる13世紀に、辛酸を極めた
戦乱に巻き込まれて回復不能のダメージを受け、以降、徐々に北フランスの支配下に置かれるようになり、
その文化的豊饒性を失っていくからです。
その戦乱=異端討伐を名目とした『アルビジョア十字軍』が、どうような性格のものなのかを示す話が、1209年の
ラングドック中部の都市ベジエ陥落の際に残されています。ペジエは他のラングドックの都市と同様、異端とされた
カタリ派に対して寛容で、信者も多かった町ですが、陥落の際、都市城内に残された市民一万数千人は、女性・
子供を問わず、一人残らず虐殺されました。陥落の前に、攻め込む側の十字軍兵士が、『異端者とそうでない人を
どのように見分ければよいのか?』と尋ねたのに対し、十字軍を指揮するシトー会修道院長アルノー・アモーリは、
こう答えたとされています。
『全員を殺せ。神が見分けをつけられるであろう。』
こう書いてしまうとカトリック教会だけが悪者のようですが、この十字軍は、ラングドックの利権をめぐって北フランスの
思惑も絡んで極めて複雑な様相を呈します。とにかく同じヨーロッパ人に向けられたこの特異な十字軍は、多くの
無辜の市民の命を奪って 1229年に終結し、カタリ派もほとんどの信者が火刑に処されて滅んでしまいます。
カタリ派は、『キリスト教の中の仏教』と呼ばれるほど不思議な宗教で、そのグノーシス主義的性格は興味深く、
多くの研究書が出ています。もし興味をお持ちになったなら、読みやすい小説として、 堀田善衛の『路上の人』と
佐藤賢一の『オクシタニア』をおすすめします。
『イケアの水差し3姉妹』 (イケアの雑貨の中でもオススメの3つのサイズ違いの水差し)
『エコカラットの壁面』 (サニタリーに吸湿パネル『エコカラット』を使ってみた結果)
『ピンタレストの雑貨ボード』 (画像SNS:ピンタレストのインテリア画像を楽しむ)
『セレンディピティ仮説』 (セレンディピティとは、ホントはどんな能力のか?)
『銀のツマミの菓子器』 (男性でも使えるシンプルな菓子器の製作)
『中世風の書見台を作る』 (リビングに飾る中世の美術書の展示台も兼ねる書見台)