もうDIYでいいよ。

靴箱のエレガンス 1

 

上は、『 shoebox elegance in ncy ( ニューヨークシティ の シューボックス・エレガンス ) 』

というタイトルの 記事(←link) で、

『 shoebox dwelling 』 というブログに載せられたものです。

 

『靴箱的に住まうこと』 と仮に訳しておきますが、この shoebox dwelling  は、独特のセンスで

選び抜いたインテリアや雑貨を閲覧できる素晴らしいブログ(←link) で、今回から数回に分け、

この中から印象的な記事を紹介していきます。

上の記事、『 shoebox elegance in ncy 』は、次回ご紹介します。

 

  

左がshoebox dwelling  を管理するブロガー、

Natalia Repolovsky。

ニューヨーク在住のデザイン・ジャーナリストです。

名前から判るように、彼女はロシア生まれで、

ピアニストを目指して練習に明け暮れていた青年時代を、ロシアで過ごしました。

ある時、『光沢のある紙質のデザイン系の雑誌を手に取った瞬間から、音楽家への道が

転換した。ソビエト崩壊後のロシアの生活を覆っていた灰色の空気を、デザインへの志向

が明るい色へと変えてくれた』と、彼女はブログの about に記しています(←link)

 

shoebox dwelling  の記事は、毎回、あまり他のデザインサイトで見かけないユニークな

インテリアで溢れていますが、どれもNatalia の一貫したモノ選びの視点が感じられて、

ブレがありません。

 

その視点を、Natalia は、『 simplicity,  space-saving,  efficiency  and  beauty of 

human thought behind the objects.(シンプルさ、省スペース、効率性、モノの背景

にある作り手の思想の美学)』と言っています。

 

これらを踏まえて、ヨナデンがブログから感じた彼女の視点の特徴を、より具体的に

以下のようにまとめてみました。

 

視点1 スペースを有効利用した小さい生活空間であること。
     小さいけれど、みじめではない、 住む人の尊厳を確保する
     高品質で心地よい住まいを目指す。
     訪問者を威圧するためだけのゴージャスで大げさな大空間、
     贅沢な家具、非効率な生活運用を必要としない。

 

視点2 必要のない時は、収納したり分解したりできる、
     存在を主張し過ぎない家具を志向。

 

視点3 立てかけたり、吊るしたり、重ねたり、畳んだりの
     物理特性が直感的に理解できる家具を志向。
     家具の動作が、ある程度予測できるので、
     誤使用による事故を回避しやすい。

 

視点4 形態がシンプルで、美しいこと。ユーモアがあること。
     退屈でないこと。楽しいこと。
     デザインの背後に、デザイナーのやさしさがあること。

 

 

 

彼女のモノ選びの感性は、このブログのタイトルの shoebox という 単語にも明らかに

示されている気がします。 shoebox とは、靴を買った時にショップが用意してくれる、

普通ダンボールで出来た、あの四角い箱の

ことですが、転じて、直方体で面白味の無い、

狭くて小さい、住宅空間を示すネガティブな

言葉となりました。

 

しかし、Natalia は、この言葉をネガティブな方向で使いませんでした。小さい直方体

であることは、人間的なスケールで空間を有効に使いきる可能性を、逆に持っていて、

シンプルで心地よい暮らしのアイデアを生み出す基礎になると考えたのだと思います。

そういえば、靴箱は、幼い時期に大切な玩具を入れる宝箱になったり、家族の大切な

写真を保管する思い出の箱になったりもしました。Nataliaは、そんな宝箱になりうる

小空間のメタファーとして shoebox という言葉を選んだのではないでしょうか。

 

 

さて、ブログ紹介が長くなりましたが、今回は、上でまとめた視点2、視点3について

印象的な記事4例を紹介したいと思います。

 

 

 


必要のない時は収納したり分解したりできる、
存在を主張しすぎない家具

 

 

Clapperboard Shelf(2013/01/17記事←link)

カチンと留める棚

フィンランドのデザイナー、Eeva Lithovius が、1999年に設立したスタジオ

ELSA から発表した棚、『klaffi shelf (クラッフィ・シェルフ)』。

この記事では、clapperboard sheif と紹介されている。使用しない棚は

棚板が畳まれて非常にスリムになる。必要なときには棚板を手前に倒す。

 

 

 

 +tables (2013/04/09記事←link)

プラス・テーブル

アムステルダムに拠点を置くデザインスタジオ、Fraaiheid(オランダ語で

美を意味する)が発表した組み立て式テーブル。

ドライバーなど工具を一切使わずに組み立てができ、パーツの種類により

様々なサイズのテーブルに変形できる。バーチ積層合板をCNCカットした

(コンピュータ制御切り出し)各パーツが揃っている。下の画像のように

天板の十字形の接合穴があり、ここにパチンと嵌めることでネジレや

ユルミが生じにくくなっている。合板の積層断面が美しい。

 

 

 


立てかけたり、吊るしたり、重ねたり、畳んだりの
物理特性が直感的に理解できる家具

 

 

Nomado Closet (2013/03/22記事←link)

ノマド・クロゼット

Arara Nomade (André Pedrini と Ricardo Freisleben によるデザイン・ユニット)

の発表した折りたたみ式クロゼット。これも工具無しで数分で組み立てられる

移動可能な家具。外に持ち出すことがなくても、例えば、収納の少ない住宅で、

ゲストを迎える場合など、活躍の場面はありそう。

 

 

 

 folding chair (2012/05/17記事←link)

折りたたみイス

アメリカ・アレキサンドリア(VA)のデザインスタジオ、 Monstrans による

使用していない時は完全にフラットになる折りたたみイス。

可動部分は、畳まれた状態では、8つの磁石によって安定し、左右に対に

開けられたハンドル穴によって、極めて持ち運びやすくなっている。

 

 

 

 

 

以上、4例をご紹介しました。次回は、視点1 について、小住宅を見ていきます。

最後まで読んでくださってありがとうございました。

 

 

  『靴箱のエレガンス 2 』 (海外ブログ shoebox dwelling の小住宅記事紹介)

  『靴箱のエレガンス 3 』 (海外ブログ shoebox dwelling が紹介する寝具特集 )

  『SMALL COOL 2013』 (アメリカDIYサイトで人気の小住宅インテリア・コンテスト)

  『DIYサイト instructables』 (アメリカのDIYサイトから評価の高いステキ小物を紹介)

   『ピンタレストの雑貨ボード』 (画像SNS:ピンタレストのインテリア画像を楽しむ)