日本のお香で落ち着く
お香(インセンス)で気持ちを楽に / 寝室 / 愛着モノ / 玄関
2011.10.13
画像は玄関に置いている香炉です。横の仏頭とおそろいの台座をDIYで作りました。
実はこの仏頭の右側にも置物があって、この台座は三幅対(さんぷくつい)を構成しています。
台座の木材は、34ミリ厚の”パドック”にしました。パドックはアフリカ原産のカリンの仲間で、美しい赤色が特徴です。
強靭で硬く耐久性に優れていることからクラシックギターの側面などにも使われています。
香炉は、富山の高岡銅器製で『波千鳥』。遺跡から掘り出したような古色に面白みがあります。
来客のある1時間前くらいに焚き終える時間配分で、玄関の香炉で日本のスティック状のお香を焚くことがあります。
焚いた直後に、お客様を迎えてしまうと、香りが少しハッキリしすぎて、いかにも焚きました!って感じになるので、
香りを感じるか感じない程度まで抑えるのに、1時間ほどかかるからです。
これが、インドのお香だったら、こうはいきません。一週間くらい待たないと(^ω^*)
控え目なお香の国で良かったと思います。でも、日本のお香だけではなくて、次回お話しするチベットのお香も、
きわめてアッサリしています。
さて、玄関で焚くお香ですが、鎌倉の鬼頭天薫堂の『薫琳』や日本香道の『伽羅大観』のスティック・タイプ1本を
灰の上に寝かせて使っています。いずれも伽羅系のお香と言われています。
『伽羅系のお香と言われています』と曖昧に言ったのは、伽羅に関してヨナデンにはとても評価は無理だからです。
伽羅(きゃら)という名前から、そしてその来歴を知れば知るほど、魅了されるこの香材は、文献に記されてからでも
千数百年という歴史を刻みながら、未だその成形のプロセスが完全には明らかにされていない謎めいたシロモノです。
東南アジアにおいてジンチョウゲ科の植物がある種のバクテリアの作用によって樹脂化して形成されるらしい沈香
(じんこう)という香材の中から、さらに何らかの条件により、たぐい稀な芳香を隠し持つ逸材として見出される伽羅は、
現在ワシントン条約によって保護されており、表立っては流通が止まっている状態です。
日本の老舗香司は長年の間ストックしてきたため、伽羅を材料として今もお香を作り続けることが可能なようですが、
高価なものになると数十万は普通、香道に使われる香木の伽羅で名の知れたモノになると数グラムで目の玉が
飛び出るような価格になると聞きます。
ヨナデンが伽羅として“聞いて”きた香りの経験などたかが知れています。普通に伽羅系の香りとされるものの中に、
本来の天然伽羅の芳香がどれくらいの割合で反映されているかなんて色んな意味で怖くて評価できません。
とにかく、そういうウンチク的なこだわりを捨てて自分が気持ち良くなるお香を探せばいいのです。
鬼頭天薫堂の『薫琳』は、気持ちのいい華やかな雰囲気の香りが残ります。鬼頭天薫堂は伽羅系の香りとして、
もう一つ『老松』を出しており、そちらを評価する人も多いのですが、なぜか『老松』の枯れた雰囲気が苦手で、
『薫琳』や『伽羅大観』の方がリラックスできるのです。
『伽羅大観』の日本香堂は、一般には、“青雲”のような“仏壇用のお線香”で有名ですが、香道のお香や海外系
インセンスにも実力があり、お香の分野でグループとして大きな存在です。さきほどの鬼頭天薫堂や銀座香十、
フランスのエステバンなども関連会社になります。
さて、こちらの画像は寝室用の小型香炉です。
台座は、『宙に浮く曲げワッパのオヒツ』で紹介したオヒツ・パレットとおなじく神代ケヤキで作りました。
香炉は九谷焼の『青粒鉄仙』(『青粒』は『あおちぶ』と読みます)。かわいいけれど品のある佇まいで、
寝室の空気が淀んでいるな感じた時に、ちょっと取り出して短時間お香を焚くのにピッタリの大きさです。
不思議なことに、ヨナデンが寝室に必要だと思う香りは、リビングや玄関で選ぶ香りとはまったく違います。
これは逆に、色々な方に聞いてみたいくらいです。アナタは、ご自分の寝室に、どんな香りを選びますか?
かなりの試行錯誤の結果、現在ずっと使っている寝室用のお香は、これも日本香堂の
fm(フレグランス・メモリー)というシリーズの『マウンテン・ブレス』です。
サイプレス、メイプル、ペパーミントがキーノートということから判るように、森林系の香りです。
これがすごく落ち着いて、閉ざされた寝室で香を焚いたりすると本来煙たいはずなんですが、なぜか深呼吸を
したくなるような爽やかな気分になります。
森林系なら、同じfmシリーズの中に『レインフォレスト』というそのものズバリの名前のお香があるのですが、
これがまた、全然合わない…。香りの好き嫌いというのは、ほんとうに不思議です。
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