もうDIYでいいよ。

ポンペイアン紅モダン

 

ポンペイアン・レッド(ポンペイの赤:イタリア名で、ロッソ・ポンペアーノ)と呼ばれる、独特の深い赤色が

お好きな方も多いと思います。

 

色味が少し似ている日本の紅(くれない又はべに)色や茜(あかね)色が、しっとりと水分を含んでいる

感じがするのに対して、ポンペイアン・レッドの方は乾燥気味でありながら、何か滋養のようなものが

沁み出してくる不思議な暖かさがあって、寝室の壁色などに使われたりします。

 

ポンペイアン・レッドの由来は、もちろん、イタリア・ポンペイの発掘によって広く知られるようになった、

ローマ時代の壁画群の背景によく使われている色味です。 中でも、秘儀荘 ( Villa dei Misteri ) の

壁画は、とても有名になりました。 さて、2011年に

イタリアの学会で、ポンペイアン・レッドなるものは、

ヴェスビオ火山噴火の際に流出したガスと高温により、

もともと黄色であった色素が赤に変化したものなのだ

というセンセーショナルな学説が発表され話題になり

ましたが、その後の話は聞きません。

ヨナデンは化学については素人ですが、イエロー・

オーカー(黄土)を煆焼(かしょう:加熱して熱分解や

相転移を起こすこと)して赤色化することは新発見でも

なんでもなく古くから知られたことだと思いますし、もと

もと赤色の効果として塗られた色と黄色が変色したものとは区別できる気がします。また加熱によって

変色しにくい鉱物性の赤色顔料も、ポンペイの壁画に使われていますので、ポンペイの壁画の赤が、

すべて元は黄色だったというのは乱暴な説のような気がします。

 

まあ、たとえ元の色が黄色であるとしても、今ある壁画の赤の色合いが素敵なことには変わりないので

ポンペイアン・レッドという色概念は無くならないと思います。

 

ネットの色辞典などで『ポンペイアン・レッド』のRBG値などを調べてみると、

同じ数値、RGB:182,060,053、16進法表記:#B63C35 で記されていま

すので、左が一応、この色の色味ということになると思います。

しかし、冒頭のタイトル画像でもちょっとイラストで表現しましたが、この色の

持ち味というのは、ペッタリした1色というより、フレスコ画の表面のように、

表情が変化し、見方によって鮮やかにも、深い色合いにもなるところじゃないでしょうか。

 

 

 

そういう、この色の多様性をうまく引き出していると思われるモダンなアイテムの中で、はっきり

『ポンペイアン・レッド』を謳ってあるモノを、これから紹介したいと思います。

 

◆刺青デザインが特徴的なファッションブランド『エド・ハーディー(Ed Hardy)』を成功させた

ファッションデザイナー、クリスチャン・オードジェー(Christian Audigier)によるネック・セーター

スター・トレック的とも感じられる、ポンペイアン・レッドとブラックの意外な組み合わせ。

 

 

◆アウトドア・シューズで有名なアメリカのKEENは、デザイナーの好みなのか、ポンペイアン・レッド

をよく取り入れている。これはウォーターアクティビティから、キャンプなどのマウンテンフィールドまで

使える水陸兼用シューズ『Turia Sundals』。 ミッドナイト・ネイビーとポンペイアン・レッドが渋い。

 

 

 

次からは、インテリア。

◆まず、イタリア・トリノ在住の建築家と思われるBistroさんのブログ『come il Bistro』から

事務所の壁色に使ったポンペイアン・レッド。たぶん一般人が手塗りで仕上げたと思われる

ムラができているが、そこはポンペイアン・レッドならではの持ち味で、かえって野趣を感じる。

この事務所の2脚のイスは、バウハウスのデザイナー・建築家、マルセル・ブロイヤーの名作

ワシリー・チェア(Wassily chair by Marcel Breuer)。ワシリーとは、同じくバウハウスで教鞭

を取っていた画家のワシリー・カンデンスキーのこと。

 

 

◆同じくイタリアのブログ『No ditelo all’architetto!』の『Un bagno a colori』より

トイレの壁色に使われたポンペイアン・レッド。天井や窓枠の白とも完璧に調和している。

こちらは、たぶんプロの塗装で、ムラなくビロードのような仕上がり。これはこれで素晴らしい。

 

以上、最後まで読んでくださってありがとうございました。

 

 

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