もうDIYでいいよ。

隅田川テラス・橋めぐり

 

 

朝、ちょっとだけ走ったりしています。

隅田川沿いの遊歩道『隅田川テラス』が整備されてきて、冬でも気持ちよくジョギングできるようになったのです。

今回は、この隅田川テラスと、途中見かける(下をくぐる)、お気に入りの橋をご紹介します。

 

そして、2013年1月のスケッチは、隅田川の橋です。今年1月のスケッチが塔(薬師寺東塔の水煙)だったので、

新年の吉例として『橋』を選んでみました。

読者の皆様の来年が希望に架かる橋となりますように。今年はご訪問くださいましてありがとうございました。

来年もよろしくおねがいいたします。

では、今年最後の記事をお楽しみください。

 

 

    

 

 

 

隅田川は一時水質がひどく悪化したようですが、水質改善が成果をあげ

親水性のある遊歩道の整備もすすめられています。注1)

東京都建設局の『隅田川テラスを散策するルート』 は、浅草の吾妻橋近く

から始まっていますが、この記事では、より下流の両国橋を出発して南下、

河口近くの勝鬨橋をゴールとする、テラスに沿って走るジョギングコースを

仮定しています。総距離は4.5km、マピオンの『キョリ測β』 で、途中の

各橋までの距離・ジョギングと徒歩での経過時間を測定しました。注2)

 

  

 

 

【両国橋/りょうごくばし】 距離0km 時間経過ジョギング0分(8km/時)・徒歩0分(3.2km/時)

 

スタート地点は両国橋中央区側の隅田川テラスです。現在の橋は昭和7年(1932年)に完成。

江戸期(1659年)に初めて架けられた『大橋』と呼ばれた元の橋は、もう少し下流にあったようです。

橋の四隅の親柱にある大球体は、完成当時からある年季の入ったモノで、第三帝国様式・新古典主義、あるいは

ロシア・アヴァンギャルドの影響を感じます。いずれにせよ当時の帝都を飾る意匠として考案されたと思われます。

 南から両国橋方向を見た隅田川テラス(下)。真冬なのに植栽が美しい。メンテナンスの方々に感謝。

  

 

【新大橋/しんおおはし】 距離0.9km 時間経過ジョギング6分(8km/時)・徒歩17分(3.2km/時)

オレンジのマスト柱のような2本の支柱が印象的な斜張橋。昭和52年(1977年)完成。

江戸期に大橋(両国橋)の30年ほど後に架けられた(1693年)この橋は、20回を超える流出・焼落があったと

記録されていますが、明治期に架け替えられた鉄橋は、関東大震災・東京大空襲にも良く耐え、多くの人命を

救ったと言われています。

 

【清洲橋/きよすばし】 距離1.4km 時間経過ジョギング10分(8km/時)・徒歩26分(3.2km/時)

 

構造形式は『自碇(じてい/self-anchoring)式鋼鉄製吊り橋』。優美なデザインで、下流の永代橋、勝鬨橋とともに

重要文化財に指定されています。昭和3年(1928年)完成。ドイツ・ケルンにあった吊り橋をモデルにした女性的な

シルエットが特徴であると言われていますが、近くで見るとリベットの打ち方からして端整かつ剛直、『鉄人28号』の

時代性を彷彿とさせます。意匠デザインでは、永代橋とともに建築家、山田守の関与があったとされています。

 

 

【永代橋/えいたいばし】 距離2.3km 時間経過ジョギング17分(8km/時)・徒歩42分(3.2km/時)

 

重要文化財。大正15年(1926年)完成。『帝都東京の門』といわれ、当時日本最大の径間長のアーチ橋。

その威容が逆に破壊衝動を誘発するのかもしれませんが、この橋は日本のSF映画でよく壊されます。

古くは東宝の特撮映画j『妖星ゴラス』(1962)で、津波が隅田川を逆流していくシーンや、

比較的新しくは『機動警察パトレイバー2 the Movie』(1993)で、クーデターによって隅田川に架かる

橋梁が次々に破壊されていくシーンでも、この橋の場面は印象的です。

また、この橋は、江戸期に隅田川に架けられた4橋中、千住大橋・大橋(両国橋)・新大橋に次ぎ、元禄11年

(1698年)に架橋された最後の橋であり、日本史上最悪の落橋事故を起こした橋としても知られています。

文化4年(1807年)、深川富岡八幡宮の12年ぶりの祭礼日当日、詰め掛けた群衆の重みに、老朽化していた

橋梁が耐え切れず、昼すぎに橋の中央部が崩落、しかし状況を知らない群集の動きは止まらず、なお橋を渡ろう

とする両岸からの圧力で崩落部からの人の落下が続出、死者・行方不明合わせ1500人という大惨事になったと

伝えられています。

 

 

【中央大橋/ちゅうおうおおはし】 距離2.8km 時間経過ジョギング21分(8km/時)・徒歩53分(3.2km/時)

この記事で紹介する中では、最も新しい橋で、支柱の形が美しい斜張橋です。平成5年(1993年)完成。

隅田川とセーヌ川が友好河川として提携している縁で、フランスのデザイン会社が設計、日本の兜を意識

した意匠が施されています。上の左画像の支柱の根元に小さく写っているのが、右画像の彫像です。

『メッセンジャー』という名のこの像は、当時のシラク・パリ市長から贈られたもので、橋上からは後ろ姿しか

見えません。胸に小さな船を抱えているのですが、隅田川クルーズの水上バスからしか見えないのです。

作者は彫刻家で、藤田 嗣治とも親交の深かったオシップ・ザッキン(1890~1967)で、彼の代表作

『破壊された都市』は、美術の教科書でご存知の方は多いと思います(下の画像はWikipediaより)。

 

 

 なお、中央大橋を過ぎると、日本橋川からの水路(亀島川)の水門があり、いったん隅田テラスは中断。

水門の裏にある南高橋(みなみたかばし)を通って、勝鬨橋に向かう隅田テラスに出ることになります。

この南高橋は、関東大震災で損傷した旧両国橋の3連トラス構造のうち、無傷だった中央部分をそっくり

流用したもので、現在では歴史的価値のある橋梁となっています(現在、修復工事中)。

 

 

【勝鬨橋/かちどきばし】 距離4.5km 時間経過ジョギング34分(8km/時)・徒歩1時間25分(3.2km/時)

ゴールの勝鬨橋です。昭和15年(1940年)に完成した日本では数少ない可動橋ですが、1970年を最後に

橋の開閉が中止され、現在は機械部への電力の供給も停止されています。重要文化財。

この橋も日本のSF映画で頻繁に壊されています。『ゴジラ』(1954)、『日本沈没』(1973)の他、前述した

 『機動警察パトレイバー2 the Movie』(1993)でも、永代橋攻撃の前に勝鬨橋の跳開部分が破壊されます。

 

跳開部分以外で、この橋の魅力といえば、なんと言っても橋上に4つ並んだ直方体の小さな建物群です。

 

それぞれ運転室・見張室・宿直室・倉庫になっていたということですが、宿直室というからには、ベッドやトイレ、

洗面施設が揃っていたはずで、 『コンパクトな居住装置』 シリーズを投稿しているヨナデンにとって魅惑的です。

こんな空中の楼閣のような巨大装置の中で寝泊りする気分を表現できる人は、たぶん宮崎駿しかいないでしょう。

 

 以上、両国橋から、隅田川の河口付近までやって来ました。右手には、築地の卸売市場が見えています。

最後まで読んでくださってありがとうございました。

 


 
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  注1) 環境省地球環境局 :『水環境保全技術研修マニュアル/第21章/隅田川(PDF)』
      昭和30年代の隅田川の深刻な汚染と、河川の再生への取り組みが詳細にまとめられており、
      参考になります(PDF注意)。

  注2)  マピオンの画面で自転車での時間も出ていますが、隅田川テラスでの自転車使用は
      禁止されています。 また、タイトル画像で、人物が自転車に乗っているようにも見えますが、
      ジョギング中の方で、片足が着地していない瞬間であり、自転車ではありません。