木ネジ:あるある失敗例
最近は木工DIYの場合、普通の釘(丸釘)を、ほとんど使わなくなりました。
ヨナデンがストックしているクギ類も、下画像左のようなコーススレッド(粗目造作ビス)などの木ネジが中心で、
下画像右のような丸釘は、化粧クギやボードクギ、真鍮・銅などの特殊クギ類だけで、少ししか持っていません。
こういう傾向は、ホームセンターの品揃えでも同じです。下の画像は近場のコーナンの接合金物売り場の一角
ですが、木ネジや金物の取付けに使うタッピングネジ(キミドリ枠)の充実ぶり比べて、丸釘類(赤枠)は控えめ
になっています。
当ブログでも、ウッドデッキや大型家具を製作する時に、かなり長めのコーススレッドを使いました。
こういうものが素人でも扱えるようになったのは、電動ドリル・ドライバやインパクト・ドライバを、ごく普通に使うように
なったからだと思います。電動ドライバは、木ネジ頭の十字穴にしっかりハメて、ナメることに注意し、垂直に力を入れ
るコツさえつかめば、非力な女性でも結構な作業量をこなせます。また、万一失敗しても、逆回転で簡単に引き抜け、
丸釘のようにクギヌキで、木の表面を傷つけることもありません。
さて、今回は、木ネジの中でも、コーススレッドを話題にしたいと思います。下画像は、コーナンで見かけた箱・袋の
徳用品ですが、ヨナデンも、100本以上の単位で箱買いしています。コーススレッドは価格も安く、それでいて、木材
の保持力は、釘の5倍もある優れた木ネジです。ネジ山が途中までの『半ネジ』と、全体にネジ山がある『全ネジ』が
あり、全ネジの方をよく使っています。
ところが、この全ネジを打ち込む際に、うっかり失敗してしまうことが、時々あるんです‥。
コーススレッド(全ネジ)の
ありがちな失敗例
1.木材a と木材b を、コーススレッドで接合することにします。
2.a b をぴったりつけて電動ドライバで打ち込んでいきます。
3.ところが、ネジが入り込むにつれて、a とb の間にスキマができ始めます。
4.なんとか力づくでスキマを閉じようと、a にネジ頭がメリ込むほど電動ドライバを回しますが、
a とb はくっつくどころか、スキマは広がったままです。逆回転で、コーススレッドを引き抜いて
初めからやり直しても、a が途中で浮き上がってしまいます。 なぜ、上手くいかないのかな??
全ネジは、先端部とネジ頭近くでは
掘り進む力が違う
調べてみると、その原因が判りました。
ネジ山が螺旋状に回転しながら木材を切削して掘り進んでいく時のトルク力は、木ネジの先端部と
ネジ頭の近くでは違うらしいのです。
先端部は鋭く尖っているので掘り進む力が強そうですが、実は逆で、径の太いネジ頭近くの方が
ネジ山の切削面積が広く、同じ1回転でも、先端部が進む力以上に、より奥へメリ込もうとします。
これは、木材の側から見ると、ネジ頭の方へ引上げようとする力が、先端部より強く働くと言い換える
ことができます。この力の差が原因で、先ほどのa とb のスキマが生じる場合があるようです。
3つの解決策と
半ネジのメリット・デメリット
原因が判れば、対策もはっきりしてきました。
a とb のスキマができないように、コーススレッドで接合する方法は3つ考えられます。
1番目は、『半ネジを使う方法』、2番目は、全ネジを使うのであれば、『木材a に下穴(バカ穴)を開けて
おく方法』です。どちらも、a の部分にかかるネジの力を無力にして、a が浮き上がるのを防ぎ、b とネジ頭
の間でa を挟み込んで固定するやり方です。
半ネジのネジをきっていない部分は、積極的な役割があったのでした、。
この2つの解決策のデメリットとしては、木材a の部分にはネジ山が食い込んでいないので、年数を経て、
木が非常に痩せた時、a がガタつくことがあり、酷い場合は、スポンと抜けてしまうことも考えられる点です。
3番目の解決策は、全ネジをしっかり入れ込むオーソドックスな方法で、『木材が浮かないように、クランプなどで
あらかじめ固定する』解決策です。木工ボンド等で先に接着しておく場合も含みます。
この方法は、木材a にもネジ山が食い込むので、3つの解決策の中では、最も強固な接合になります。
ただ、どのような浮きが生ずるかを予測する、ある程度の経験が必要で、木材の種類によったり、充分に体重をかけ
やすい作業条件であれば、こういう解決策でなくても、普通に全ネジを打ち込める場合も多いのです。
そのあたりを見極めて、クランプやハタ金などの準備も考えればよいと思います。
以上、最後まで読んでくださってありがとうございました。
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